固有値解析において必要なメッシュサイズは、一般的に固有モードの腹に対して5~10の節点を配置すべきと言われています。1次要素の分割数で言えば6~11分割程度となります。
例えば単なるプレートが振動する場合を考えると、その変形形態は大きく変位する部分とあまり変位しない部分が現れます。大きく変位する部分を腹、あまり変位しない部分を節と言います。腹の部分は節から節の間の区間であり、その部分が6~11分割されるメッシュを作成すれば、ある程度精度が確保できるということになります。当然腹の長さは固有モードの次数に依存し、高次になればなるほど短くなりますので、メッシュサイズもそれに合わせて小さくする必要があります。したがって、評価したい最高次の固有モードを基準としてメッシュサイズを決定します。
今回はこれに関して実際に解析して検証してみました。
解析モデル今回解析したモデルは単なる短冊状のプレートです。サイズは幅50mm、長さ300mm、板厚1.2mm、素材は鉄鋼材料を想定しています。要素は四辺形1次要素を使用し、拘束無しの完全フリー状態で固有値解析を実施しました。評価する固有モードは1次とし、その固有振動数を理論値と比較することで解析精度を検証しました。
理論式理論値は下式で計算しています。

f:固有振動数、λ(4.730):境界条件と固有モードで決まる定数、l:長さ、E:弾性率、I:断面二次モーメント、ρ:密度、A:断面積λは今回の場合、フリーの境界条件でモード1を評価しますので4.730となります。λの値はモードと境界条件によって異なり、便覧などでは表になって載っているはずです。
この式を用いて今回の解析モデルを計算しますと、モード1の理論値は70.89Hzとなりました。
解析結果モード1の変形形態は下図のようになります。この場合は全体として一つの腹しかありませんので、全長300mmを何分割するかで評価することにします。

解析結果をまとめた表が以下です。

上記表をグラフとして表したものが以下です。

これを見ますと、分割数を多くすればするほど理論値との誤差はどんどん小さくなり、6分割で誤差5%以下、10分割では2%以下となりました。そして30分割以上ではほぼ横ばいとなります。
分割数と解析精度の関係は、評価する構造や固有モードによって異なると考えられますが、一般的に言われている”固有モードの腹に対して5~10の節点を配置する(1次要素では6~11分割程度)”は、解析規模と精度の面から妥当な基準と言えるのではないでしょうか。ちなみに私は10分割程度を目安にしています。
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