栃木県技術士会の創立10周年記念誌「栃木県技術士会の軌跡」に興味深い記事がありました。それは、中国や東南アジアなどで生産された低価格な製品に打ち勝つため、あらゆる面で低コスト化を進めた結果、モノづくり力そのものが衰退してきてしまっているとの指摘。
主な原因としては製造のアウトソーシング化、実験や測定の下請け化など。技術というものは生産と研究開発の連鎖によって蓄積される為、生産をアウトソーシング化していしまうと、生産現場で行われるいろいろな改善活動が製品開発にフィードバックされなってしまう。また、研究開発に必要な各種実験等も外部の業者に外注してしまうケースもかなり問題と指摘している。やはり実験を内部でやり、多数のイレギュラーなデータとも向き合いながら、そしてそれを一つ一つ解決していくことで技術が向上していくものなのだと。
私も本当にそう思います。実験を丸投げすると、意図しないデータは何かおかしいのではないかともう一度やり直しさせたりしてしまいがちですが、そのようなデータから重要な何かが隠れている可能性もあるのです。また実物を前にいろいろ試行錯誤することで新たなひらめき、解決策などが浮かぶこともあります。
これはCAEという狭い分野に限っても言えることだと思います。最近では解析に必要な3Dモデルの修正やらメッシュ切り等を外部の業者に外注してしまうケースも多いです。そもそも解析・評価までも外注してしまうこともあるかもしれません。社内では仕様を指示するだけなど。私もよく外注しているので大きなことは言えませんが、やはり自分でモデルも作成しながら試行錯誤しないと解らないこともたくさんあります。そういった経験をしていないと外注することもできないと思います。
日本のモノづくりの在り方そのものもそうですが、CAEについてもどう運用していくか、課題は多いです。しかし結局は人材育成をどうするかの話に帰着する気がします。
- 関連記事
-