マイナーな資格なので知らない方も多いと思いますが、
計算力学技術者(CAE技術者)という資格があります。
日本機械学会が主催し、毎年12月に試験が行われています。この試験ではCAEを適切に実施する上で必要な知識が問われ、合格すると計算力学技術者(CAE技術者)の認定資格を得ることができます。
今回はこの計算力学技術者(CAE技術者)資格制度について考えてみたいと思います。
実はツイッターでも少し議論していまいて、『
計算力学技術者(CAE技術者)資格はCAE技術者の育成に有効か?』でまとめていますので参考にしてください。
また、本ブログで以前書いた記事ですが、関連するものを挙げておきます。
・
CAE技術のコンサルティングについて [2010/01/31]
・
計算力学技術者試験のススメ② [2009/12/25]
・
計算力学技術者試験のススメ [2009/12/24]
CAE技術者の前提知識昔はそれなりの知識を持った技術者・研究者のみがCAEを活用するという感じでしたが、現在ではソフトウェア自体も使いやすくなってきており、多くの開発現場で誰もが当り前のように利用するようになってきています。しかし、当然ながら使いやすいソフトウェアであっても、適切に利用するにはそれなりの前提知識が必要になることには変わりありません。そんな前提知識を身に付ける意味で本資格を取得することは非常に有効であると考えます。
ここで強調したいのは、あくまで前提知識だということ。この資格を取得したからと言って、
有能はCAE技術者になれるわけではないということ。資格を取得すればある一定の知識を有していることが認定されるだけであって、実務上はそれ以上にたくさんの知識が要求されますし、知識だけでなくこれまでの経験に基づく
感覚など、総合力が必要になってきます。
技術士などの資格もそうです。最近では技術士も技術者としてのスタートラインとの位置付けになってきています。つまりはそれぞれの専門分野での前提知識をある程度有しているかどうかの客観的指標に過ぎません。大事なことはこういった資格取得で得た知識を有効に発揮して実務で成果を上げていくことだと考えます。
どんな人が受験すべきか現在では初級から2級、1級、上級アナリストまで様々な認定レベルが用意されていますので、前提知識との立場であれば、CAEを扱う技術者すべてが受験すべきだと思っています。特に経験の少ない若手技術者は受験することで多くの知識を得ることができると思います。
また、別な意味で受験が必要な人もいます。それは解析を受託する会社に勤めている人など、CAEコンサルタントとして対外的にその技術レベルを提示する必要がある人。このような人はすでに受験で問われる内容をすべて理解していたとしても本資格を取得して名刺にしっかり記載すべきだと思います(
参考)。
例外的に、メーカーなどに勤務するベテラン技術者など、すでにCAEに関する多くの経験を有し、相当な技術力を持った人は改めて受験する必要はないと思います。このような人はすでに社内で実績を残されていると思いますし、対外的に技術レベルを提示する必要もないと考えるからです。もちろん自ら力試しのために受験するのはあると思いますが・・。
計算力学技術者資格認定事業の効用機械学会の案内では計算力学技術者資格認定事業を通じて次の2つの効用が期待されるとあります。1つはCAEソフトウェアを扱う技術者自体の品質保証、2つ目は、CAE技術者の社会的地位向上・社会的認知。
現在のCAEは、ある意味人の技術レベルに依存したシステムです。解析結果の信頼性を担保するにはまず、それを扱う技術者自体の品質を担保する必要があると考えます。またCAE技術者の社会的地位、社会的認知についてですが、確かにツイッターでも議論しましたが、
CAE技術者とはどういう人を指すのか曖昧で定義ができずにいます。社会的地位の前にまず社会的認知の必要性を感じます。
こういった資格を通じてCAEに携わる技術者のレベルアップは勿論、そういったことを仕事にする人もいるのだという社会的認知の向上にも繋がればよいなぁと思います。
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