変位型有限要素法において、主に1次の完全積分要素(例えば1次の4角形要素や6面体要素など)を用いた時、剛性が過大に評価される現象です。特に曲げ変形(4角形要素では面内曲げ)を受けた時に発生するロッキングを
せん断ロッキングといいます。非圧縮性に近い材料(ポアソン比≒0.5)で発生するロッキングを
体積ロッキングといいます。いずれも、変位関数の次数が低いために要素の変形を適切に再現できないことに原因があります。
【回避方法】
・次数が低いことが原因ですので2次要素を使用すると簡単に回避できます。
→デメリット:計算コスト(自由度)の増大、大ひずみ等の現象に対応できない
・逆に次数を減らし、低減積分要素を用いる。
→デメリット:
アワーグラスモードの発生が懸念される
・内部的な次数を上げる非適合モードを用いる。
→デメリット:ゆがんだ要素を使用すると精度が極端に落ちることがある
結局のところ、計算コストを抑えつつロッキングを回避できる完璧な要素はないということです。現象よく観察しながら適切な要素を選択するようにするしかないのが現状です。
しかし、実際のところロッキング悩まされることは少ないかも知れません。まず手計算でもできるようなモデルでないと結果が過大に評価されているかの判断が難しいのと、実際の構造においてそのような単純な曲げがだけが加わる状況が自体が少ないからです。また、高度な解析ツール以外はロッキングの起こりづらい非適合モード要素のみしか対応していないことが多く、現象の再現すらできないでしょう。
(参考)
その他あまり聞きませんが、曲率を有する構造で発生するロッキングをメンブレンロッキングといいます。
これはせん断・体積ロッキングとは逆に1次要素では発生せず、2次要素で発生するようです。
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