非線形解析では実験で求めた応力ひずみ線図(多くは公称応力公称ひずみ線図)をそのまま利用することはできず、真応力真ひずみ線図に変換したデータ利用する必要があります。
今回は公称応力から真応力に変換する方法について説明します。
公称応力の定義は次式(1)となります。
・・・(1)
σn:公称応力、A0:変形前断面積、F:荷重真応力の定義は変形後の断面積Aで荷重Fを割るので次式(2)となります。
・・・(2)
σt:公称応力、A:変形後断面積、F:荷重さて、公称応力と真応力を結びつけるには以下の仮定を導入します。それは非圧縮性。次式(3)は変形前と変形後での体積が同じであることを示します。
・・・(3)
A0:変形前断面積、A:変形後断面積、l0:変形前長さ、l:変形後長さ
ここで金属などの延性材料はポアソン比が0.3程度であることは知られており非圧縮性ではないのでは?と疑問に思うかもしれません。しかし材料が塑性するような領域ではせん断変形が卓越して体積は一定に保たれます。つまり非圧縮性の性質を示すのです(
参考)。
式(3)を少し変形しますと、
・・・(4)
A0:変形前断面積、A:変形後断面積、l0:変形前長さ、l:変形後長さ
この式(4)を式(2)に代入します。
・・・(5)
σt:真応力、F:荷重、A0:変形前断面積、l0:変形前長さ、l:変形後長さ
式(5)の右辺F/A0は式(1)の公称応力の定義そのものですので、式(1)を式(5)に代入します。
・・・(6)
σt:真応力、σn:公称応力、l0:変形前長さ、l:変形後長さ
式(6)の右辺l/l0は
公称ひずみから真ひずみに変換する方法で説明した式(2)ですので、これを式(6)に代入します。
・・・(7)
σt:真応力、σn:公称応力、εn:公称ひずみ
式(7)が公称応力(と公称ひずみ)から真応力に変換する式となります。
注意)この変換式は、材料に局部的なくびれ(ネッキング)が発生する前のみ有効ということに注意する必要があります。
参考:
公称ひずみを真ひずみに変換する方法真ひずみから塑性ひずみに変換する方法↓よろしければブログランキングにご協力を
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